デジタルサイネージの配線はどれが最適？—HDMI直結／LAN配線エクステンダー（HDBaseT・AVoIP）／光ファイバーの違いと選び方
┃デジタルサイネージの配線はどれが最適？—HDMI直結／LAN配線エクステンダー（HDBaseT・AVoIP）／光ファイバーの違いと選び方
要点サマリー
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～30m・1対1・コスト最優先：まずはHDMI直結（高品質ケーブル or アクティブHDMI）
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～100m・1対1・周辺制御も必要：HDBaseT型エクステンダー（Cat6/6A）
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多数台・柔軟な拡張・切替やビデオウォール：AV-over-IP（LANスイッチ活用）
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100m超～長距離・屋外・ノイズ多環境・8K/将来拡張：光ファイバー（AOC or 光延長器）
配線方式の全体像
1) HDMI直結（銅ケーブル）
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特徴：最もシンプル。短距離なら無圧縮・低遅延・安価。
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距離目安：受動ケーブルで5～10m前後、アクティブHDMIなら20～30m程度が実用レンジ。
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利点：機器が少なく安定。HDCP/EDIDの相性問題が起きにくい。
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注意：長距離に弱い。ケーブル太く取り回し難。EMIの影響を受けやすい。
2) LAN配線を使うエクステンダー
A. HDBaseT（ポイントツーポイント）
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特徴：送受信器＋Cat6/6Aで最大100m級を“ほぼ無遅延”で延長。IR/RS-232/イーサネットを同時伝送、PoH/PoE給電対応機も。
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向く用途：1対1延長、現場制御（IR/RS-232/USBタッチバック）併用、配線ダクトはCatケーブル主流。
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注意：4K60 4:4:4対応は規格/機種差が大きい（購入時に対応色サンプリング・帯域確認必須）。
B. AV-over-IP（LANスイッチ経由）
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特徴：エンコーダ／デコーダ＋ネットワークスイッチで多拠点・多面を柔軟に構成。
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1GbE系：H.264/H.265/JPEG2000等の軽～中圧縮。画面切替・配信の拡張性◎、低コスト。遅延は数～数十ms程度が一般的。
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10GbE系（例：SDVoE等）：非圧縮に近い品質・極低遅延（サイネージでは体感ゼロに近い）。4K60 4:4:4やビデオウォールで強い。
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向く用途：多数台・将来増設・矩形以外のレイアウト／切替／ビデオウォール。
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注意：スイッチ選定（IGMP、QoS、Jumbo Frame等）とネットワーク設計がカギ。
3) 光ファイバー（AOC/光延長器）
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AOC（アクティブ光HDMI）：HDMIコネクタ一体のプラグ＆プレイで100m級も可能。一方向が多い。取り回し軽い。
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光HDMI延長器（トランシーバ＋SFP/光モジュール）：数百m～数kmまで。**シングルモード（OS2）**なら長距離、**マルチモード（OM3/OM4）**は中距離。
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利点：EMI耐性◎、長距離◎、将来8K/高帯域に強い。屋外や工場でも安定。
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注意：初期費用が高め、曲げ半径や端面清掃など施工品質が画質に直結。
比較表（要点早見）
| 方式 | 距離目安 | 画質/帯域 | 遅延 | 拡張性 | 周辺制御 | EMI耐性 | 初期コスト | 施工難度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| HDMI直結 | ～30m（アクティブで延伸） | 非圧縮◎（HDMI規格依存） | 極小 | ×（1対1） | △（CEC程度） | △ | 低 | 低 |
| HDBaseT | ～100m（Cat6/6A） | 4K対応は規格/機種確認必須 | 極小 | ×（1対1が基本） | ◎（IR/RS-232/USB/PoH） | △（STPで改善） | 中 | 低～中 |
| AV-over-IP 1GbE | スイッチ規模次第（配線はCat） | 圧縮有り（高画質～中） | 小～中 | ◎（多面・切替・拡張） | ○（方式依存） | △ | 中 | 中～高（設計必須） |
| AV-over-IP 10GbE | 同上 | 非圧縮に近い◎ | 極小 | ◎ | ○ | △ | 中～高 | 中～高 |
| 光AOC | ～100m超 | 非圧縮◎（HDMI 2.0/2.1対応品も） | 極小 | ×（1対1） | △ | ◎ | 中 | 中 |
| 光延長器（SFP） | 数百m～数km | 非圧縮～軽圧縮（方式依存） | 極小～小 | △（分岐は機器次第） | ○ | ◎ | 中～高 | 中～高（光施工） |
※ 適合可能な解像度/色サンプリング（例：4K60 4:4:4/4:2:0）やHDCP、EDIDの扱いは機種依存。購入時に仕様を必ず確認してください。
選び方のコツ（チェックリスト）
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距離 × 帯域（解像度/色/リフレッシュ）
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4K60 4:4:4を確実に通すなら、HDBaseTの対応世代やAVoIPの帯域、**AOCの規格（18Gbps/48Gbps）**を要確認。
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100m超や屋外横断は光が堅実。
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遅延許容
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メニュー操作・タッチバック・ライブ映像がある場合は無圧縮 or 低遅延を優先（HDMI直結／HDBaseT／10GbE系AVoIP／光）。
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台数・拡張性
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将来の増設・切替・ビデオウォールを想定するならAV-over-IP一択。1対1固定ならHDBaseT/光AOCが簡単。
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設置環境（EMI/雷/屋外/工場）
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強電・モーター・雷サージが懸念 → 光が最有力。CatはSTP・アースで対策。
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運用要件（EDID/HDCP/CEC/制御）
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EDID保持・エミュレーション、HDCP対応、IR/RS-232/USB伝送の要否を先に確定。
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タッチパネル併用はUSB延長の対応方式をチェック。
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ネットワーク要件（AVoIPのみ）
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IGMP Snooping/Querier、QoS、Jumbo Frames、EEE無効化などスイッチ設定が品質に影響。
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マルチキャスト大量配信や10GbEはコア/配線計画が肝。
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コスト構造
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初期費用だけでなく、**運用・保守（スイッチ管理／光の清掃・測定）**も加味。
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長距離や落雷リスクでのダウンタイム損失は光で低減できる場合あり。
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冗長化
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重要サイネージは二重化（二重経路／二重スイッチ／二重電源）を検討。光なら経路分離が容易。
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典型シナリオ別ベストプラクティス
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小規模店舗／～20m／1面
→ アクティブHDMI。設置・保守が最も簡単。 -
中規模オフィス／～100m／1対1＋リモコン/タッチ制御
→ HDBaseT。PoH対応なら受側無給電で省施工。 -
商業施設／複数面／将来増設・一括管理
→ AV-over-IP（1GbE）でコストを抑えつつ拡張性確保。
→ 高画質・低遅延が重要なら10GbE系。 -
屋外LEDやスタジアム／長距離・高ノイズ
→ 光ファイバー（AOCまたは光延長器）。雷サージ・ノイズに強く長距離安定。 -
8Kや将来の高帯域
→ 光を前提に。AVoIPは25GbEクラス等の選択肢も視野。
トラブル回避の実務Tips
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ケーブル品質：CatはCat6/6A・単線（Solid）・適切なシールド、総延長（パッチ含む）100m厳守。
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EDID/HDCP：EDIDエミュレーター付き機器や固定EDIDを活用。
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電源/給電：PoE/PoHは供給側の電力余裕を確認。
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スイッチ設定（AVoIP）：IGMP Snooping＋Querier、QoS、Jumbo Frames（ベンダ要件準拠）、EEE無効。
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光施工：曲げ半径遵守・端面清掃・コネクタ保護。**OS2（SM）**は長距離、**OM3/OM4（MM）**は中距離。
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屋外対策：避雷器・グラウンド・防水ボックス・ドレイン処理を適切に。
まとめ
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短距離・簡単：HDMI直結
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中距離・1対1＋制御：HDBaseT
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多面・拡張：AV-over-IP
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長距離・高信頼/屋外・将来帯域：光
要件（距離・帯域・遅延・台数・環境・コスト）を整理すれば、最適解は自然に決まります。
