LEDビジョンのIP規格について
┃はじめに
LEDビジョンは、屋内外での広告や情報表示に広く利用されているディスプレイ技術です。特に、屋外で使用されるLEDビジョンは、風雨や塵埃にさらされるため、耐候性や防塵・防水性能が求められます。これらの性能を評価するために使用されるのがIP(Ingress Protection)規格です。本記事では、LEDビジョンのIP規格について詳しく解説します。
┃IP規格とは
IP規格は、電子機器の防塵・防水性能を評価する国際的な規格で、IEC(国際電気標準会議)によって定められています。IPコードは「IPXX」の形式で表され、最初のXは固体異物に対する保護等級を、2番目のXは水の侵入に対する保護等級を示します。
┃IPコードの構成
IPコードは、次のような形式で表示されます。
- IP6X: 固体異物に対する保護等級
- IPX5: 水の侵入に対する保護等級
それぞれの数字が示す意味を以下に詳しく説明します。
┃固体異物に対する保護等級(最初のX)
- 0: 無保護
- 1: 直径50mm以上の固体物(例: 手)の侵入を防止
- 2: 直径12.5mm以上の固体物(例: 指)の侵入を防止
- 3: 直径2.5mm以上の固体物(例: 工具や太いワイヤー)の侵入を防止
- 4: 直径1.0mm以上の固体物(例: 細いワイヤー)の侵入を防止
- 5: 防塵(有害な量の塵埃の侵入を完全には防止できないが、機器の正常な動作を妨げない)
- 6: 完全防塵(塵埃が全く侵入しない)
┃水の侵入に対する保護等級(2番目のX)
- 0: 無保護
- 1: 垂直に落ちる水滴に対して保護
- 2: 垂直から15度以内での落ちる水滴に対して保護
- 3: 垂直から60度以内での水の飛沫に対して保護
- 4: あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護
- 5: あらゆる方向からの低圧の水流に対して保護
- 6: あらゆる方向からの強い水流に対して保護
- 7: 一定の圧力・時間での水没に対して保護
- 8: 継続的な水没に対して保護
- 9: 高圧・高温の水流に対して保護
┃LEDビジョンにおけるIP規格の重要性
屋外に設置されるLEDビジョンは、雨や雪、塵埃、風などの環境要因に晒されます。そのため、信頼性と耐久性を確保するためには、高い防塵・防水性能が必要です。IP65やIP67といった高い防護等級を持つLEDビジョンは、こうした過酷な環境下でも安定した動作が可能です。
IP65
- 防塵性能: 完全防塵(塵埃が全く侵入しない)
- 防水性能: あらゆる方向からの低圧の水流に対して保護
IP67
- 防塵性能: 完全防塵
- 防水性能: 一定の圧力・時間での水没に対して保護
これにより、IP65やIP67のLEDビジョンは屋外広告や公共インフォメーションディスプレイとして安心して使用できます。
┃まとめ
LEDビジョンのIP規格は、その防塵・防水性能を評価する重要な指標です。IP65やIP67といった高い等級を持つ製品は、屋外での使用に耐えうる高い信頼性を持っています。LEDビジョンを選定する際には、設置場所の環境条件を考慮し、適切なIP等級を持つ製品を選ぶことが重要です。